生き物の宝庫
玉川上水沿いの緑道は人々の散策路として愛されているばかり か、今も多くの動植物が共生している。その緑道を分断する都道の 建設が小平市で計画されている。この計画に危惧を抱いた住民た ちが、玉川上水が生き物の宝庫であり、緑道の大切さを理解してほ しいと、都知事に現地調査と視察を求める署名活動をしている。
緑道分断、雑木林も伐採
玉川上水(全長 43キロ)の浅間橋(杉並区の久我山と高井戸の境)までの開 渠部 30キロは2003年、国の史跡に認定された。問題の都道は国分寺市東戸倉から小平市小川町までの 1・ 4キロの道路(小平328号線)だ。府中街道と 並行していて南の部分は幅 メートルの橋が玉 川上水を分断する。「ルート上にはジョウビタキやツグミなどの渡り鳥の休息場 所の雑木林があり、上水の堤にはキンラン、シュンランなど貴重な野草が自生しています」と、ちいさな虫や草やいきものたちを支える会「ちむくい」代表で小平市のリー智子(さとこ)さんは言う。
緑の連続性が生物多様性を保持
多摩川から都心へ続くグリーンベルト、玉川上水。そのなかでも、国の史跡 に指定された開渠部約 キロの沿道緑地で は500種の野草が確認された。野鳥は この道路予定地の前後 ・ キロだけでも コゲラ、シジュウカラなど 種類を確認 したと、保全生態学を専門とし、元麻布大学教授で、「玉川上水みどりといきも の会議」代表の高槻成紀さん。
「これは皇居や明治神宮に匹敵する豊かさです。ここは玉川上水のグリーンベルトが広いおかげで生き物の宝庫であり、ここに道路ができれば失われるもの が大きすぎます」。
未来を担う子どもたちに玉川上水の水 と緑を引き継いでいく義務があると考え たリーさんと、高槻さんと「地球永住計 画」代表の探検家・関野吉晴さんらが呼 びかけ人となり、都知事に現地視察と、 東京都生物多様性地域戦略にのっとった 調査を求める署名活動を始めた。先月末 にはネット投票も含め 万7000筆 に。さらなる署名を求めている。オンライン署名は右のQRコードから。
☎ 080・5019・0153、メール satoko.lee@gmail.com リーさん
はなこタイムスの記者・吉井亨さんが書いてくれました。
東京都多摩地区から都心に至る玉川上水沿いを、地球の歴史に思いを巡らせながら歩く、「玉川上水46億年を歩く」が4月28日に開かれる。「いっしょに歩く人」を募っている。
玉川上水は、江戸時代に掘削された、現在の東京都羽村市から新宿区まで、全長43キロの素掘りの上水路。人口が急増した江戸の飲み水を担った。都市化で地下になった下流部を除く30キロが2003年、国の史跡に指定された。歩く会を企画したリー智子さん(62)は、小平市内の一部区間を「奇跡の5キロ」と呼ぶ。「武蔵野の杜を彷彿とさせる緑道。上水の両壁面は『土木遺産』にふさわしく、歴史を感じさせる土のひび割れが美しい」と話す。玉川上水の高低差は、92メートル。100メートルあたり21センチほどで、当時の土木技術の高さがうかがえる。
西武国分寺線鷹の台駅(小平市)東側に、半世紀以上前に決まった上水にかかる都道計画が動き出し、市民有志の署名活動で2013年、計画見直しの賛否を問う住民投票が実現。5万1010人(投票率35.17%)が投票したが、投票率50%の条件が付けられて、開票されなかった。住民投票前後の同市長選の投票率は、37.28%と34.64%だった。その後工事は進み、玉川上水に迫る。リーさんは、「いっしょに歩いて、玉川上水の今を見てほしい」と話す。
28日は午前7時に羽村市を出発し、立川、小金井、西東京、武蔵野、三鷹など各市を経て杉並区へ。午後7時半皇居近くでゴール。「奇跡の5キロ」区間にある小平中央公園内の雑木林で午前11時ごろから昼食休憩し、探検家で医師の関野吉晴さん(75)が、玉川上水の価値について話す。「奇跡の5キロ」だけの参加も歓迎で、希望者にはリーさんが、手づくり地図のデータを事前に送る。
上水沿いの緑道を歩く催しは今回が2回目。3年前は参加した40人ほどが、一部電車を利用した人も含めゴールイン。都道予定地近くに住む石橋彩子さん(48)は、小学生の男児と一緒に完歩した。「緑道の木々に、クワの実やカラスの巣を見つけたり、土の道を子どもが走りたがったり。自然の豊かさを感じる」と話している。
雨天時は29日に延期。問い合わせは、リーさん=080(5019)0153またはEメール(satoko.lee@gmail.com)へ。
【関連情報】
・玉川上水46億年を歩く(HP)(公式facebook)
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この記事で注目すべきは、「玉川上水と新堀用水を横切る大型道路の計画も進む」と書いてくださったこと。
あれはなん年前だったか、この林に名前をつけようといいだして「どんぐり林」と呼ぶようになり、いつの間にか多くの人もそう呼ぶようになりました。
多くの人に親しまれている玉川上水・新堀用水・どんぐり林を横切る大型道路の計画も進むというのは紛れも無い事実で、それをできるだけ多くの人に知ってもらいたい。こういう時代に新しい大型道路が必要なのかどうかを、意見できる場がほしいです。
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ちむくいの活動が掲載されました。
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2014年9月1日 朝日新聞
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