第39回 玉川上水の散策路 晩秋~冬の草木のいろどり

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写真と文は宮元伸也さん

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緑一色に覆われていた玉川入水の散策路も冬が近づくにつれ草木の葉はさまざまな色を装い始めます。草木の葉はそれぞれが独自の色に染まり、この時期ならではの色探しを楽しませてくれます。また春から秋に咲いた花が実らせた木の実、草の実もいろどりのアクセント役として気になります。上を見て感激、下を見て関心、色を求めての楽しい散策です。色を求めて撮り溜めた写真を紹介します。

1.雑木林 師走のころ       (2016.12.19)

上水沿いの雑木林です。地はびっしり落葉に覆われましたが、木にはまだ黄葉が残っています。。画像中央の明るい黄色はイヌシデ、右の赤茶色はコナラ、その奥のコナラより少し黄色いのはクヌギと思われます。雑木林の代表的な樹種の晩秋の姿です。

 2.コナラ 紅葉                (2016.12.23)

人の背丈ほどのコナラの幼木、高さは150cmほどです。赤茶色の葉はクヌギの黄葉とは区別できます。日が射すと赤味が映えて鮮やかです。高木になるコナラの紅葉を間近に見られました。



3.クヌギ 黄葉              (2015.12.05)

玉川上水の柵内に生えるクヌギの高木です。枝が剪定された樹の上部に陽が射し、黄葉が一層鮮やかに見えました。

4.イヌシデ 黄葉              (2016.12.09)

高木のイヌシデは、空間を覆うように黄葉を拡げていました。その美しさ、見事さにしばし見とれました。同じ黄葉でもクヌギとは微妙に色の違いがありました。イヌシデの高木は上水路ではふつうに見られます。


5.クマシデ 紅葉        (2012.12.04)

イヌシデと近縁で葉の形が似たクマシデは赤茶色に染まっていました。上水の柵内で見るクマシデは10mほどの小高木で紅葉は見易いですが木の数は少ないです。

6.カマツカ 黄葉・果実     (2015.12.05)

カマツカは高さ5mほどの落葉小低木です。葉が緑のうちはあまり目立ませんが、木々の葉が色づくころ、赤味を帯びた黄葉を枝いっぱいに広げ存在観を示します。この時季、上水路にカマツカが意外に多いのに気づきます。しかし真っ赤な果実をつける木は少ないです。


 7.ヤマコウバシ 黄葉・果実 (2019.11.17)

ヤマコウバシは春葉が開き始めたころ葉の間に小さな花をつけ、葉が黄色く色づくころに果実は黒く熟します。淡い赤、黄、緑が混在した葉からは優しさが感じられます。

 8.ヤマコウバシ 枯葉         (2016.02.04)

季節が進み真冬になると葉はすべてが茶色く枯れます。枯葉は冬芽が膨らむ頃までには風でちぎれてなくなります。。極寒の頃、枯葉がついたままの低木は目立ち、上水路にヤマコウバシが意外に多いのに気づきます。枯れた葉に夕日が射していました。


9.ゴンズイ 果実            (2009.11.20)

果実の真っ赤な果皮が割れ、黒い光沢の種子が1,2個顔を出してぶら下がっています。このころの葉は独特の赤みを帯びた灰黒色になり、赤い果実を引き立てます。

10.クサギ 果実                 (2014.10.31)

枝や葉をちぎると強い臭気がありますが、花は芳香があり、真紅のガク(萼)に包まれた濃紺の美しい果実も散策を楽しませてくれます。果実は草木染に使われます。6~8mの小低木は上水路に散在します。


11.マルバウツギ 紅葉        (2019.11.21)

マルバウツギは上水路でふつうに見られます。葉の色はもう少し赤味が濃くなりますが、写真のような渋さも魅力的です。枯れた果実のお椀型のがく(萼)片が葉に映っていました。

12.ガマズミ 果実             (2015.12.05)

散状に付いた真っ赤な果実が魅力的です。おいしそうに見えますが、口に入れるとかなり酸っぱいです。さらに熟すと甘みが増すといわれています。葉は紅葉することもあります。


13.サネカズラ 果実           (2015.11.21)

上水のネットフェンスに絡まっていました。つる性の常緑樹です。果実が球状に集まりぶら下がる姿はユニークです。常緑の葉は裏面が紫色を帯びることがあります。上水路で樹に絡まるサネカズラを見かけますが、果実はほとんど見られません。

14.ムラサキシキブ 果実     (2015.12.05)

ムラサキシキブの名の由来はこの果実の色ともいわれています。上品で美しい色です。葉が落ちた後も果実は枝に残り、やがて萎んで落果します。上水路でふつうに見られます。


 15.ニシキギ 紅葉・果実      (2015.12.05)

落葉の低木です。葉が緑のころは目立ちませんが、秋、葉が色づき始めるとやがて鮮やかな真紅の紅葉に変化します。この頃果実も裂開し橙赤色の(仮)種皮包まれた種子がぶら下がります。ニシキギは枝についた板状の翼が特徴です。

 16.コマユミ  紅葉・果実   (2019.11.17.17)

ニシキギに似て翼(よく)がないものをコマユミといいます。翼は剥がれ取れやすいので区別するには、痕跡の有無の丁寧な観察が必要です。上水路にはニシキギとコマユミ両方があります。


 17.マユミ 果実   (2015.11.19)

5mほどになる落葉の小高木です。淡紅色の果実を枝にびっしりつけています。4つの稜を持つ果実はやがて4つに裂開し橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔を出します。種子はメジロやヒヨドリの好物です。葉はやがて紅、黄に染まってから枯れます。近年上水路のマユミの果実が少ないように思います。

 18.ツルウメモドキ 果実    (2016.01.09)

落葉つる性の木です。秋に熟した黄色い果実は、3つに割れ橙赤色の仮種皮に包まれた種子がが顔を見せます。1月に撮ったこの写真では仮種皮にややしわがみえます。被った黄色い種皮が可愛らしいです。上水路では散在していますが雌雄異株で果実をつけない株があります。


19.ノイバラ 果実        (2015.12.05)

林縁に生えるノイバラの真っ赤な果実は暗い背景で映え、なかなかきれいです。完熟した果実は甘くて香りがよいそうですが、数回試食しても無味で甘味や香りを感じたことがありません。きっと採るのが早すぎたのでしょうね。

 20.ナワシロイチゴ 紅葉      (2016.12.23)

枝がつる状に伸びる落葉低木です。夏に真っ赤に熟した美味しい果実の次は、真っ赤な紅葉が楽しめます。草と同じくらいの高さなので散策時は足元に気をつけて見ましょう。陽の当たる所のほうが鮮やかな紅葉になるようです。


21.ヌルデ 紅葉                 (2019.11.21)

山地でよく見るヌルデの紅葉です。一見ウルシに似ていますが小葉の軸(葉がついている軸)にウルシにはない板状の翼(よく)がついていることで見分けることができます。落葉する小高木で上水路には点在しています。

22.タカトウダイ  紅葉          (2009.11.20)

高さ50~70cmの多年草。上水路の南側(右岸)の草地で見られます。5月ごろに咲く蜜を出す腺体を持った盃状の花はユニークです。楕円形の葉は秋には紅く色づき、美しい草紅葉になります。


23.イヌタデ 紅葉          (2011.11.01)

アカマンマの名で身近なイヌタデです。赤飯に見立てた赤く小さな花もかわいらしいですが、秋が深まり地味に赤く染まった葉も趣を感じます。上水路ではふつうに見られます。

24.オカトラノオ 紅葉         (2009.11.20)

オカトラノオは70~80cmの多年草です。上水路では日当たりのよい草地でふつうに見られます。秋が深まり色づいた葉を逆光にかざすと、真紅の地に葉脈が浮き出たきれいな模様になりました。


25.ヨウシュヤマゴボウ 紅葉  (2014.11.21)

明治初期に渡来した北アメリカ原産の多年草。高さは1mを超え、楕円形の葉も20cmを超えるものもある大きな草です。秋の紅葉と黒紫色に熟した果実は散策する人のだれの眼にもとまると思います。果実は水の中で揉んで色水遊びの材料でした。

26.オニドコロ 黄葉            (2015.12.05)

上水路の林縁でふつうに見られるつる性の多年草です。太い桜の木に絡みついた黄色いハート形の葉は大きいものは幅が10cmほどもあります。陽が葉に当たり存在感がありました。


27.シロザ  紅葉          (2019.11.21)

シロザは高さ80cmほどの一年草で、上水路の路傍や畑地でふつうに見られます。若葉や葉裏は白い粉状物でおおわれ白っぽく見えます。秋になって、葉、茎、果実の集まりは優しい赤色に染まりました。

28.イヌコウジュ                  (2019.11.21)

高さ50cmほどのシソの仲間です。花が終わり種子が抜けた後の萼(がく)と茎が淡い赤茶に色付いていました。愛らしい萼(がく)が並んだ枝ぶりも形よくきれいだと思います。上水路ではふつうに見られます。


29.ムラサキエノコロ             (2019.11.21)

エノコログサ(ネコジャラシ)の仲間で穂が紫褐色を帯びます。秋には葉も紫褐色になり草むらの彩りに一役買っていました。陽当たりの良い道端や空き地で見られます。

30.チカラシバ                (2019.11.21)

上水路の陽当たりがよい草地、路傍で見られます。夏の穂の暗紫色もよいですが、秋の赤茶けた色も趣があります。穂に付いた長い毛は刺毛と言われ触れるとチクチクします。名は土にしっかり根を張り、丈夫で力を入れないと抜けないからだそうです。


31.メリケンカルカヤ            (2019.11.21)  

鞘状の総苞(そうほう)飛び出す密生した白い毛に陽が射し、きらきらしてきれいでした。北アメリカ原産、高さ60cmほどのイネの仲間です。上水路の陽当たりがよい草地で見られ、近年広がりつつあるようです。

32.ノブドウ 果実               (2012.11.08.)

落葉つる性の木です。この時期になると、何色の果実が見られるか散策が楽しみです。果実の色は緑、赤、紫紫と多様で、実にきれいです。色は果実内にタマバチの仲間の寄生(虫こぶ)によるといわれています。寄生していない果実は白いそうです。


33.ヘクソカズラ 果実          (2019.01.04)

葉をちぎったり、果実をつぶすと異臭が匂います。そっと触れるだけでは匂わないのにかわいそうな名前です。でも名前をすぐ覚えられますね。夏に咲く白と紅紫の小さな花はかわいいし、冬枯れの林縁にぶら下がる黄褐色に熟した果実には風情があります。

34.コセンダングサ  果実       (2014.11.21)

コセンダングサの果実のことをそう(痩)果といいます。花を1輪残してそう(痩)果の先端は研ぎ澄まされたモリ(銛)のようです。下向きのとげは刺さったら抜けません。衣服につく引っ付き虫です。咲き遅れた一輪の花が寂しい。


35.キタキチョウ                 (2015.11.21)

秋も深まったころ、キタキチョウが草の葉の間から顔を出していました。キタキチョウは枯れた草藪や落ち葉の間で成虫越冬するそうです。寒さに強いらしく真冬でも暖かい日が続くとひらひら飛ぶのが見られます。

36.ホソミオツネントンボ       (2019.11.01)

ミズヒキとまっているのを見ました。11月にイトトンボとは! オツネントンボです。雑木林内を飛んでいましたが落ち葉の上を飛んでいると見失ってしまいます。名は成虫で越冬することから越年の意味だそうです。上水路の林縁で運が良ければ見つかります。