ちむくい達を紹介します
ち(ちいさい)む(むし)く(くさ)い(いきもの)達
写真(クリックして拡大)と文は宮元伸也さん
クヌギの小枝
先週(8月下旬)玉川上水を観察がてら歩いていると、クヌギの小枝が多数落ちていました。
落ちた小枝にはすべて未熟な緑色のドングリがついています。
小枝の切り口を見ると、スパッと刃物できられたように見えます。
風で折れたのとは様子が違います。
小枝についていたドングリにはどれもキリであけたような穴がありました。
ドングリの帽子(殻斗)を剥ぐと穴の痕跡があり、穴はキリ屑でふたをされているように見えます。
かわいそうだとは思いましたが、ドングリをスライスすると、穴の付近に1mm程度の紡錘形の小さな卵を発見することができました。
穴の深さは約3mmで下部がやや広く卵室のようになっていました。
クヌギの小枝はドングリに産卵した何者かが大きな枝から切り落としたのです。
ハイイロチョッキリ
クヌギのドングリに産卵したのはこの虫です。
大きさは約8mmでチョッキリの仲間です。顔面から長く伸びた先端に小さな顎があり、ドングリの穴あけや小枝の切り落とすはすべてこのあごで作業します。
この虫が子孫を残すための労力を考えると、ますます愛おしくなります。
クヌギにやや遅れて、コナラの小枝も落ちています。
コナラのドングリにもハイイロチョッキリの産卵痕がありました。
コナラのドングリを割ってみると、クヌギと同様に卵室の中に卵が見られました。
クヌギやコナラに産み付けられた卵はドングリの中で孵化して幼虫になり、秋になるとドングリの殻を破って抜け出し土中で冬越しをした後、成虫になるといわれています。
抜け出したあとのドングリには2mmほどの丸い穴があいています。ドングリ拾いの折に確かめてみませんか。
ノカンゾウ
梅雨時の雨の日に玉川上水を散策した。
雨の日は水滴を被写体にすること
が多い。小さな水玉の連なりや水玉を通して見る魚眼の世界もまた楽しい。ノカンゾウの花柱(雌しべ)についた水玉の列とツボミについた大きな水滴にレンズが向いた。
タケニグサ
(竹似草) 別名:チャンバギク
名は茎が中空で竹に似ているからといわれている。
雨の日の散歩時に見たタケニグサの水滴は美しかった。右端に花と蕾。中央の若い果実の先端が水滴で飾られとてもかわいらしく思った。雨の日の散策は、何か発見があるような気がする。
ツユクサ
(露草) 別名:ボウシバナ
草地や道端で誰もが見たことがある一年草だ。
花も梅雨に先がけて咲き、名も分かりやすく納得できる。
青い花弁に黄色い雄しべの組み合わせがこの花を印象的にしているが、実は黄色の雄しべは花粉をもたず飾りのようなもので、長く延びて先端が灰色のが本物の雄しべ。
ヤブラン
(藪欄)
山野の木陰に生える多年草。葉は根元から幅1cm、長さ30~60cmで細長い。花茎は30cmほどで淡紫色の8mm程度の花を多数つける。
木漏れ日が当たると花の色が冴えて美しい。小さな花に、花粉か蜜を求めて花より小さなハチがとまっていた。
コオニユリ
(小鬼百合)
山地の草原では普通だが、玉川上水でもちらりほらりと咲いているのが見られる。夏の茂った草叢から抜き出た橙赤色の花は目立つ。
庭先で見かけるオニユリと似ているが花は小さく、オニユリのように葉の脇に珠芽(むかご)はできない。
キツネノカミソリ
(狐の剃刀) 細く長い葉をカミソリに見立てた。
古い時代に中国から渡来されたという多年草。日当たりのよい草地に生えるが、玉川上水では林の中でも見られる。葉は春先に出て初夏には枯れ、花の芽がいきなり地上に出てくる。
花茎は20~40cm程度でそれほど高くはないが、橙赤色の花は草叢の中にあっても見つけやすい。
エゴヒゲナガゾウムシ
別名:ウシヅラカミキリ
梅雨明け頃、1cm程に育ったエゴノキの若い実に5mmくらいの虫を見ることができる。白い面をかぶったようなのが雄、その前で一生懸命穴を掘っているのが雌だ。穴を掘った後、交尾して雌は穴に産卵する。この間、雄はメスを他の雄に奪われないように見張っている。今度、エゴの実を見てみよう。きっと小さな穴が開いていますよ!