ちむくい達を紹介します
ち(ちいさい)む(むし)く(くさ)い(いきもの)達
写真(クリックして拡大)と文は宮元伸也さん
< 美しい蜂たち(その2) >
模様がきれい、形が面白い、そんなハチを紹介します。
ツチスガリ(とヒメジョン)(6月)
ジガバチの仲間で狩人蜂です。腹部の黄色い帯が目立つ10mmほどの小さなハチです。
土中に巣をつくり、狩ってきたコナハナバチや小さな甲虫類を巣に運び、その獲物に産卵し幼虫の餌にするそうです。
スズバチ(10月)
胸部の背と腹部の黄色い紋がおしゃれだと思います。
ドロバチの仲間で25mm程の狩人蜂です。
樹や壁に泥で造った球形の巣に卵を産み、針を射し麻酔したチョウやガの幼虫を中にいれ、孵化した幼虫はそれを食べて育ちます。麻酔された幼虫は新鮮なまま幼虫の餌になります。
写真のスズバチは、この草(アカザ?)の周りをしきりにホバリングして獲物(イモムシ)を探しているようでした。
サトジガバチ(9月)
前回のオオコンボウヤセバチ(コンボウヤセバチ科)に似ていますがこちらはアナバチ科の狩人蜂で、黒く細長い腹部のオレンジ色が目立ちます。
地面に巣穴を掘り、ハリを刺して麻酔をかけたガなどの幼虫を運び込んで産卵します。上水路付近で自分より大きいイモムシを引きずっているのを時々見かけます。
ミカドトックリバチ(9月)
大きさは15mm程の小さなドロバチの仲間で狩人蜂です。
黒の地色に黄の斑紋が美しいハチだと思います。
泥で徳利の形をした巣を作り、その天井に卵を産みつけ、巣には麻酔をしたガの幼虫(イモムシ)を入れ入口は泥でフタをします。トックリバチの孵化した幼虫はガの幼虫を食べて成長し、ふたを破って外に出ます。
〇 キアシナガバチ(10月)
大きさは25mmくらいでアシナガバチの中では大きいほうです。このハチを上から見ると黒と黄色の模様が目立ちなかなかきれいだと思います。
家の庭など身近な場所にもいるので比較的見つけ易いですが、攻撃性が強いともいわれているので注意しましょう。
< 食事中の蜂たち >
〇 セイヨウミツバチ(10月)
タイワンホトトギスの花に蜜を求めてやってきました。
花の蜜源付近に直接鋭い大アゴを突き刺し、大顎の中にたたまれた口吻を伸ばして蜜を舐めとっています。
この花にとっては、花粉を運んでくれることなく蜜だけ盗られたのでは迷惑ですね!
〇 クロスズメバチ(10月)
上水路を歩いていたらカリカリと小さな音が聞こえました。クロスズメバチが枯れた木の枝のようなものをかじっている音でした。このハチの模様はシンプルでかっこいいと思います。
クロスズメバチは枯れ枝を噛み砕き唾液を混ぜて巣を作るそうです。信州育ちの方はご存知でしょうが、このハチの子は美味だそうです。
〇 コガタスズメバチ(10月)
目の前を羽音を鳴らして横切り、脇のノコンギク(?)に止まったのはコガタスズメバチで、捕らえたハチのような虫の首筋を大アゴで押さえつけていました。
コガタスズメバチはハチ、アブ、ハエ、イモムシなど小型昆虫全般を獲物にしているそうです。
< 10月の草木の実の紹介 >
〇 ノブドウ(ブドウ科)(10月)
ノブドウの特徴はカラフルな実だと思います。秋が深まるともっと鮮やかになりますが食べられません。
実がさまざまな色やいびつになるのはブドウミタマバエの幼虫が入り込んだためで、これを虫えい(虫こぶ)といいます。
寄生されていない実はいびつになることなく青~藍色に熟すそうですが、あまり見かけません。
〇 アカネ(アカネ科)(10月)
アカネの実は直径6~7mmほどの球形で、かわいらしく2個がつながっているのがおもしろい! 中には1個だけのもありますが、アカネは上水路でふつうにみられます。
つる性で、茎に下向きの刺があり他の草に引っ掛けて延びていきます。
アカネの根は染料になることで知られています。
〇 イシミカワ(タデ科)(10月)
イシミカワはつる性で2mほど延び、茎についた下向きの刺で他の草や木に絡みついています。三角形の葉や茎の刺などで一見ママコノシリヌグイと間違われますが、つる性であることや花の色などで区別できます。
イシミカワの実の形や熟すまで緑~藍色への色の変化に面白味を感じます。
〇 アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)(10月)
落葉つる性の木で、雌雄異株です。
上水路では野草観察ゾーンで見られます。7,8月ごろに咲く雄花、雌花は黄緑色で小さく目立ちませんが、草むらに埋もれて咲いています。熟した実は黒紫色で大きさは7~8mm、ブルーベリーのような白い粉をふいています。
実もやはり草むらの中でひっそりとぶら下がっています。