< 玉川上水路 盛夏の頃を歩く >
今年は梅雨が短くいきなり夏になり、未経験の
気温35℃を超す猛暑が今も続いています。
暑さにめげない上水路の「ちむくい」達
に会ってきました。
ノカンゾウの咲く道 (2018.6.14)
梅雨の晴れ間に上水路左岸の草むらを歩くと、ノカンゾウが道沿いに群れて咲いていました。咲き始めて間もないせいか、例年茎にびっしり付くキスゲフクレフシアブラムシも見当たらず、清らかな花を楽しみました。
ノカンゾウとカマキリ (2018.7.7)
花の上にカマキリが乗っていました。大きく1匹前に見えますが、まだ翅が出ていないので幼虫でしょう。獲物を襲う鎌の構えは幾分幼く見えました。
ヤブカンゾウの咲く道 (2018.6.21)
ノカンゾウが咲く同じ道沿いにヤブカンゾウが群れて咲いていました。ヤブカンゾウの花は雄しべ、雌しべが花弁化した八重咲きで少し荒っぽく見えますが、それなりに趣を感じます。全体はノカンゾウよりやや大ぶりです。
ヤブミョウガ ( 018.7.24)
上水路の林内や林縁でふつうに見られます。写真は雑木林内で群れて咲いているのを撮りました。茎の先に咲く白い花は雄しべと雌しべが備わった両性花と雄花が混在しているそうです。花後、藍紫色をした球形の果実もきれいです。ミョウガの名が付いていますが、ツユクサの仲間です。
ミズタマソウ (2018.7.26)
高さは20~40cmほどですが、白い花の大きさは約3mm、小さくて見落としそうです。ルーペで見ると先が二つに裂けた花弁と雄しべ、萼が各2個、飛び出た長い雌しべが1個で単純な美しさを感じます。白い毛が密集した丸い果実は名の通り水玉を思わせます。上水路の道端に散在しています。
ダイコンソウ (2018.7.28)
林縁や林床に散在しています。名は根から出た葉(根生葉)の形がダイコンの葉に似ているからだそうです。高さは40~50cm、花の大きさは2cmほどです。鮮やかな黄色はうす暗い林縁で目立っていました。
クサギ-1 (2018.7.28)
クサギの大きな木に花が咲き始めていました。近寄るとユリのような芳香が漂っています。チョウやハチ、アブなど多くの昆虫がこの香りに刺激され、蜜を求めて寄ってきます。葉をちぎると名の通り強い臭気を感じます。秋になり真っ赤な星型の萼に乗った藍色の果実も魅力的です。
クサギ-2 (2018.7.28)
クサギの花です。星型の白い花の中央から先端に葯(花粉が入っている)をつけた長い雄しべが4本が飛び出しています(雄性期)。その後雄しべは垂れ下がり、それまで短かった1本の雌しべが伸びてきます(雌性期)。この時間差は自家受粉を避けるためといわれています。
ヨウシュヤマゴボウ (2018.7.24)
草むらを歩いていると、葉の間から色づいた果実が見えました。7月なのにはや果柄、萼が赤く、果実も黒紫色に色づいていました。赤く花のように見えるのは花弁ではなく萼片です。秋にはさらに色が濃くなった果実と真っ赤な紅葉も楽しみです。
キツネノカミソリ (2018.7.21)
キツネノカミソリは、上水路付近では例年8月になってから咲きますが、今年は7月下旬に見られました。ただこの付近では一株しか見当たらず、昨年咲いた場所ではまだ開花していません。猛暑が影響しているのでしょうか。密生する笹の隙間から顔を出していました。
1 イチモンジカメノコハムシ・幼虫 (2018.5.25)
ムラサキシキブの葉を食草にするイチモンジカメノコハムシの奇妙な幼虫です。背に乗せた黒いものは脱皮殻や糞で、天敵に対する擬態といわれています。
2. イチモンジカメノコハムシ・蛹 (2018.7.24)
蛹が2個並んでいました。やはり幼虫の糞と脱皮殻が背に乗っています。蛹になると脚の部分が白くなりますが、やはり妙な形です。
3. イチモンジカメノコハムシ・成虫 (2018.7.24)
イチモンジカメノコハムシは甲虫です。成虫の大きさは8~9mm、甲の部分が透明でその下の様子が良く見えます。名は翅の後方の黒班と腹部の黒い部分が一の字を描くからだそうです。ムラサキシキブの葉に沢山の穴(食痕)があったら、この変わった虫を探してみませんか。
エゴヒゲナガゾウムシ (2018.7.25)
5月中旬に咲いたエゴノキの花は、7月には1cmくらいの丸い果実になります。果実をよく見ると5mmほどのエゴヒゲナガゾウムシが見つかります。右の白い三角のお面が雄、左が雌です。雌は果実の産卵場所を探って、果実と硬い種子に穴を開け産卵します。別名、ウシヅラヒゲナガゾウムシこの名も良いと思います。
コガネムシとベッコウハゴロモ (2018.7.28)
クズの葉に並んでとまっていました。コガネムシ(左)の食草は主に広葉樹の葉、クズの葉も好むようです。葉に開いた穴はコガネムシが食べた跡だと思われます。ベッコウハゴロモは広義的にはカメムシやセミなどの仲間、植物の茎に口吻を刺して汁を吸います。クズの葉にもよくとまっています。
コフキゾウムシ (2018.7.28)
大きさ約5mmの小さくかわいらしいゾウムシです。粉を吹いたような淡緑色とつぶらな目が魅力的です。マメ科の植物を食べますが上水路では特にクズの葉でよく見かけます。周囲が食痕でボロボロのクズの葉はコフキゾウムシの仕業でしょう、探してみてください。
ツチスガリの仲間 (2018.6.21)
ヒメジョオンに15mmほどの黄色い個性的な顔をしたハチがとまっていました。狩人バチのツチスガリバチの仲間と思われます。地中に巣穴を掘り、狩った甲虫や他のハチ類を穴に入れ、中の幼虫の餌にするそうです。花の蜜や花粉は自らが食べるためです。
クロバネツリアブ (2018.7.9)
見たことがないアブがヤブカラシの花で蜜を吸っていました。首に黄色いマフラー、腹のシロオビ、それに大きく黒い翅が特徴的です。この翅でホバリングなど自在に飛ぶことができるそうです。
体長は18mmほどです。再会したい虫のひとつです。
アシナガバエの仲間 (2018.07.13)
金属光沢の体と翅、長い脚、大きさは5mmほどの小さなハエですが間近に見ると美しいです。上水路の茂みや公園の植え込みの葉の上を探すと見つかると思います。アシナガバエの仲間の種類は多く、名前の特定はできませんでした。
キバラヘリカメムシ (2018.7.13)
ツリバナの未熟の果実に口吻を刺して汁を吸っているのは、キバラヘリカメムシの幼虫です。まだ翅が短いので黄色い腹部がむき出しです。成虫は背の全体が地味な灰茶色、腹部は黄色です。幼虫も成虫もツリバナ、マユミ、ツルウメモドキなどニシキギの仲間の果実を好むようです。
アカタテハ (2018.7.23)
上水路では比較的よく見かける美しいチョウです。飛び回っていたのが、運よく翅を開いて葉の上にとまってくれました。年に2~4回発生するそうです。越冬する成虫もあり、春に越冬して翅がぼろぼろになった成虫を見ることもあります。幼虫の食草はイラクサの仲間のカラムシやヤブマオなどです。