< 玉川上水路 初秋の頃を歩く >

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                                        写真と文は宮元伸也さん

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長引いた猛暑、続く雨、台風など夏から秋にかけて不順な天候に悩まされました。そのような中、空の様子を伺いながら上水路の秋を探しに歩きました。


マヤラン               (2018.9.15)

6~7月に咲いた花は数も少なく元気もありませんでしたが、しばし休憩後9月には元気に多くの花が見られました。上水路のマヤランは、場所を少しずつ変えながら拡がっているようです。

サガミラン             (2018.9.22)

白花のマヤランのように見えますが、最近の分類では別種です。7月のマヤランの開花と同時期にツボミは出ていましたが、機会を逸して花を見られませんでした。生育環境はマヤランと同様と思われますが希少です。



ミズヒキと水滴-1        (2018.9.15)  

 雨が降る上水路でミズヒキの真っ赤な花(花被)に大きな水玉がたくさんぶら下がっていました。美しい首飾りのようです。雨の日の散策は、葉や花の上の水玉、濡れた木々、緑が映る水溜りなど普段とは異なる光景に出会えます。

ミズヒキと水滴-2      (2018.9.15)

 大きな水玉は魚眼レンズです。クローズアップで見ると空から足元までが逆さに写る面白い世界が見えました。


タマゴタケ            (2018.9.15)

 真っ赤な美しいキノコです。出初めは、軸の下についている白い薄皮をかぶり、まるで殻をむいたゆで卵のようです。大きくなるにつれ薄皮が破れて赤い卵が顔を出し、やがて傘を開きます。上水路にはこの時季いろいろなきのこが出ますが、タマゴタケは少ないようです。この場所では毎年出ます。


ヒルガオ                      (2018.9.5)

 名は花が昼間に咲くことによります。つる性の多年草で、日当たりを好み草むらや低木、ネットフェンスなどにからまって咲いています。淡紅色がやさしい大きな花です。子供の頃、雨降り朝顔と呼んでいました。上水路に散在しています。

 

コヒルガオ                      (2018.9.14)

花はヒルガオよりやや小さく、淡紅色がより淡い清楚な花です。上水路にはコヒルガオも散在しています。花を見ての両者の区別は分かりにくいですが、コヒルガオは葉の基部の横に張り出した部分に浅い切れ込みと花柄の上部にギザギザの翼があります。


クズ                (2018.9.14)

クズはマメ科のつる性の多年草で、上水路にはふつうに見られます。ただ、花は木に絡んだつるの高所にあることが多く気づきにくいかもしれません。房状に咲く花は、濃紅紫色が目立ちきれいです。秋の七草の一つ。根はくず粉や生薬の葛根湯の原料などに利用されます。

イヌタデ              (2018.9.28)

道端でふつうに見られます。赤いツブツブを赤飯にたとえて別名は「アカマンマ」。小さくて分かりにくいですが、1.5mmほどのかわいらしい花をつけています。花が終わると赤いツブツブの中に艶がある黒い種子ができます。イヌ(役に立たない意味でつかわれる)の名は、葉の辛味が蓼酢に用いられるヤナギタデに対して付けられたそうです。

 


ナンテンハギ            (2018.9.12)

上水路では草むらや林縁にふつうにあり、花は5~11月まで見られます。秋になり草々の勢いが収まる頃、総状に咲く紅紫色の花が目立ってきます。花後は、豆が入った鞘をたくさんぶら下げます。名は葉(小葉が2枚)がナンテンに似ていることによります。フタツバハギの別名があります。

 ノブキ               (2018.9.3) 

上水路脇の雑木林内に群生していました。花は中心部に不稔性の両性化、周辺に雄しべが退化した雌花があります。写真の中央は雌花にできた放射状の果実です。果実、花柄には腺毛があり、粘液を出してべたつき「ヒッツキ虫」になります。名は葉の形がフキに似ることによります。

 


マルバフジバカマ         (2018.10.13)

上水路脇の用水の法面に咲いていました。明治中期に北米から観賞用に移入した外来種です。白い花弁と糸状の白く長い雌しべが特徴です。日陰でも育つので上水路での繁茂が気になります。フジバカマの仲間ではありません。

ゴンズイの果実            (2018.10.9)

5月中旬の新緑に紛れて咲く黄緑色の小さな花はほとんど目立ちません。しかし、秋には真っ赤な果実が稔り、熟すと赤い果皮は裂けて光沢がある黒い種子が顔を出します。この赤と黒のコントラストは存在感があります。ゴンズイは落葉小低木で、上水路では比較的多い木です。

 


コブシの果実              (2018.9.5)

握りこぶしに似た果実(名の由来)が裂けて赤い種子が顔を出していました。上水路にはコブシは散在し、早春に咲く白い花が目を楽しませてくれます。花後は木々の緑に同化してコブシの存在は目立ちませんが、秋の散策中に地面に落ちた赤い種子を見ると改めてコブシの存在を想います。

シロダモの果実          (2018.10.12)

 シロダモの果実に赤い色が付き始めていました。シロダモは雌雄別株で、秋が深まる11月頃に雄花、雌花がそれぞれの木の葉の脇に咲きます。雌樹では前年咲いた花からできた赤い果実と本年の花が同時に見られます。名は葉の裏が白いことによります。上水路でふつうに見られる木のひとつです。

 


クサギの果実              (2018.9.28)

7,8月咲いたよい香りを漂わせた花は果実になっていました。星状に開いた真っ赤なガク(萼)と光沢がある緑がかった藍色の果実のコントラストが印象的です。このような果実の彩を見るのも、秋の上水路散歩の楽しみの一つです。この果実を用いた草木染ではウールが果実の色に染まるそうです。

ガマズミ の果実                        (2018.10.9)

赤い光沢がきれいなガマズミの果実です。ところがよく見ると正常よりも大きい変形した果実が付いています。初めて見ました。Webで検索したところこれはガマズミミケフシという虫こぶで、ガマズミミケフシタマバエというハエの幼虫が果実に寄生してできるそうです。このようなムシコブが増えないよう祈ります。

 


ノブドウの果実            (2018.10.9)

つる性のノブドウの果実です。写真の7mmほどの果実の色は一例で、他にクリーム色、緑、青など実に多様です。色の変化の要因に虫こぶ(虫の寄生)説がありますが、異論もあるようです。ただ、いびつに肥大した果実の中にはノブドウミタマバエの幼虫等がいることが多いとのことです。何故かはどうあれ多様な色の美しさには魅せられます。

ミズキ の果実                         (2018.10.9)

5月上旬に咲いた花は緑色の果実になり、やがて赤色を経て10月の上旬には紫黒色に熟します。果実が付いた細い柄は赤くなり果実の紫黒色のとの組み合わせはきれいだと思います。熟した果実はコゲラ、ヒヨドリ、ムクドリなど鳥が好んで食べます。


ヤマブドウの果実          (2018.9.28)

 上水路で初めてヤマブドウの果実を見ました。ヤマブドウは雌雄別株です。紫黒色の果実を1個口にしました。甘酸っぱく美味でした。上水路にヤマブドウは少なく、たまたま出会ったとき果実は空振りでした。上水路にはヤマブドウに似たエビズル(ブドウの仲間、食べられる)がありますが、葉の裏は前者が赤褐色、後者が白色で区別できます。

サワフタギの果実         (2018.10.9)

 上水路には数少ない落葉低木で、5月頃に1cmほどの白い花を円錐状に密につけます。花後の果実は10月には美しい藍色に熟します。この果実の色からルリ(瑠璃)ミノウシコロシの別名があります。ウシコロシは材が硬いカマツカの別名で葉がサワフタギと似ています。



チャバネアオカメムシの幼虫      (2018.9.3)

円形で緑色のカメムシの幼虫が、上水の擬似木柵を這っていました。背に描かれた褐色の模様はユニークでかわいらしいです。

チャバネアオカメムシの成虫    (2018.10.12)

9月に出会ったカメムシは、チャバネアオカメムシの幼虫でした。緑色の体色と茶色の翅のすっきりした組み合わせが特徴です。大きさは1cmほどです。カメムシ類の幼虫と成虫では体型や色、模様が異なるものが多いです。チャバネアオカメムシはナシやカキなどの果実を食害し、果樹の害虫として嫌われています


ホシホウジャク                (2018.10.13)

ホシホウジャクは翅を広げた大きさは5cmほど、茶色っぽく後翅の黄色が目立つスズメガの仲間です。へクソカズラの花から花へとすばやく移り、ホバリングをしながら吸蜜していました。まるでハチドリのようです。ちなみにホウジャクは蜂雀と書くそうです。幼虫の食草はヘクソカズラの葉です。

ノコンギクツマグロキンバエ    (2018.10.12)

体長6mmほどの小さなハエです。このハエの特徴は青緑色の縞模様がある大きな複眼と長い口吻です。口吻は花粉を効率よく食べられるよう折りたたみ式で長く突き出すことができます。ツマグロ(褄黒)の名は折りたたまれた羽の端が黒いからだそうです。