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オミナエシは秋の七草として知られていますが、花は7月下旬から11月上旬まで見られます。この間、その鮮やかな黄色い花に訪れる虫たちの多様さに惹かれました。


 オミナエシの訪花昆虫

花粉や蜜を求める昆虫の種類や大小はさまざまです。花の上での彼らの姿や色、仕草には発見があり、驚嘆も感じられました。

キゴシハナアブ           2016.9.25

 体長は約12mm、ハナアブの仲間です。胸部の明瞭な縦じま、腹部の横じまのデザインははおしゃれです。まだら模様でほこりが付いたような複眼も印象的です。花の蜜や花粉を食べます。

マルボシヒラタヤドリバエ        2014.10.4

体長は8mmほどです。丸っこいオレンジ色の腹部に黒に波模様がかわいらしいです。花や果実などを食べます。幼虫はカメムシ類に寄生するそうです。


ハエの仲間-1             2016.7.23

 体長は約10mm、比較的大きなハエです。名前は分かりませんでした。花の蜜を舐めているように見えます。

ハエの仲間-2             2014.10.4

オミナエシの花には大小さまざまなハチ、ハエ、アブの仲間がたくさん飛んできます。


キンケハラナガツチバチ(メス)   2014.10.14

 体長は約2cm、ツチバチの仲間です。花の蜜を吸っています。ツチバチの仲間のメスは土中のコガネムシ類のイモムシ(幼虫)を狩り、針を刺して麻酔しその体表に卵1個を産卵するそうです。孵化した幼虫は麻酔されてまだ生きている芋虫を食べて育ちます。

キンケハラナガツチバチ(オス)    2009.9.8

メスよりやや小柄でスリムです。オスは触角が長く、腹部にわずかに黄色の帯紋(帯に乱れ)が見られます。


ハチの仲間(名前は不明)       2014.10.4 

体長8mmほどの小さなハチです。オミナエシを訪れるハチの種類は多くまた似たものもあり名前は分かりませんでした。

オオセイボウ             2011.9.28 

 体調は約15mmです。体表面が青紫~青緑色の金属光沢を持つ美しいハチです。上水路での出会いは少なく、見つけるとうれしくなります。スズバチ、ドロバチなどの巣に寄生します。


ジガバチ            2016.9.25 

体長は約20mmの狩蜂です。黒くスリムな体形にオレンジの帯はシンプルで美しいです。針で麻酔したガ類の幼虫(イモムシ)を地面に掘った穴に引きずり込んで産卵します。孵化したハチの幼虫は麻酔されたままの芋虫を食べて育ちます。

オオコンボウヤセバチ     2014.10.24

体長は約20mm、腹部の端から伸びた産卵管は体長と同じくらいの長さがあります。産卵管は木材の穴や竹筒などで幼虫を育てるハナバチや狩りバチ類の幼虫に産卵するために使います。体を立てた写真のような姿勢で飛んでいます。


モンシロチョウ         2011.10.4

 おなじみのモンジロチョウが蜜を吸いに来ていました。幼虫(アオムシ)の食草は畑のキャベツやダイコンなどです。

ベニシジミ            2014.10.10

ベニシジミは春から秋にかけて咲くさまざまな花にやってきます。春に現れるチョウは赤っぽく、夏はやや黒っぽく、秋は混在するなど季節による変異があります。幼虫の食草はタデの仲間のギシギシやスイバです。


イチモンジセセリ          2011.8.30

 上水路では秋が近くなると、花から花へと素早く飛ぶ姿が見られます。地味な色合いと胴が太いのでよく蛾(ガ)と間違われることがあります。幼虫の食草はススキやエノコログサ(猫じゃらし)、カヤツリグサなどです。

ダイミョウセセリ           2014.9.7

 セセリチョウの仲間の多くが羽を閉じてとまりますが、ダイミョウセセリは翅を開いてとまります。前翅の白い斑点の一部は半透明でオミナエシの黄色が透けて見えます。幼虫の食草はヤマノイモやオニドコロなどの葉です。


トリバガの仲間         2016.10.11

これが「蛾」? 翅を開いた大きさ(開張)は15mmほどです。分かりにくいですが写真をよく見ると花の仲ストローを伸ばしています。大きな蚊に見える体形、反らした腹部、後足に付いた棘のような毛など興味深いガです。

コアオハナムグリ        2009.9.8

 体長は約12mm,緑色の翅に白い斑点が目立つ小型のコガネムシです。いろいろな花に顔を突っ込んで蜜や花粉を食べます。花の時期には普通に見られます。


アオドウガネ             2016.9.16 

体長は約22mmです。ややくすんだ緑色の翅とお尻の部分のうす茶色の毛(写真では見にくい)が特徴の中型のコガネムシです。主に草木の葉を食べます。

ダンダラテントウ        2014.10.4

 体長約5mmの小さなテントウムシです。よく見かけるナミテントウに似ていますが、顔付近の白地に四角い黒枠模様の有無で区別できます。黒と赤の斑点の模様は地域差・個体差があるそうです。成虫、幼虫ともに植物に付くアリマキを食べます。名の由来は不明です。



 花に潜むクモ

オミナエシにはアズチグモがよく潜んでいます。このクモの体色は黄色、淡緑、白色などの変異があります。特に黄色いとオミナエシの花の色に同化して見つけにくいです。

アズチグモ-1            2011.8.6

 太い前脚を大きく開いて待ち構える姿をカニに見立てたカヌグモ科のクモです。黄色いアズチグモはオミナエシの黄色の花に溶け込んでいます。アズチグモは獲物を捕らえるための網を張ることはありません。

アズチグモ-3           2016.11.1

 淡黄色の頭胸部と白い腹部、人の眼には目立ちますが虫たちや鳥などの天敵にはどう見えるのでしょうか。カニグモの仲間は網を張らず、花や葉の陰で待ち伏せて獲物を捕らえます。

ワカバグモ                2016.9.9 

前脚を開いた体勢で獲物を待つカニグモの仲間です。全身の透き通るような明るい緑色と細長い体形をしています。ワカバグモは若葉蜘蛛と書くのでしょうか、魅力的です。オミナエシの花で見ることはアズチグモの倍よりずっと少ないです。

アズチグモ-2            2014.8.14

アヅチグモの体色や斑紋は個体の変異が多く、一見異なるクモに見えますが、開いた前脚、後が膨らんだ腹部と頭胸部(眼がついた部分)に共通の褐色部があります。このクモは頭胸部が淡い黄色、腹部が緑色の色違いがおもしろい。

アズチグモ(オス)           2011.8.30 

クモの仲間と同様に、メスの体(8~9mm)に比べオス(約4mm)はメスに比べかなり小さいです。オスの体色は赤茶色のタイプだけです。




 <喰いー喰われる(訪花昆虫の危機)

昆虫にとって花は楽園ではありません。アズチグモは針を持つハチや数倍も大きいチョウやガも襲います。アズチグモはアゴの一撃で獲物を麻痺させ、抵抗する間を与えないようです。

アズチグモ ニホンミツバチを狙う  2015.8.20

両足を大きく開き獲物が射程に入るのをじっと待っているようです。ニホンミツバチの運命は? ニホンミツバチは射程内の花にはとまりませんでした。

ササグモとハラアカヤドリハキリバチ 2011.8.30

 食事中のハラアカヤドリハキリバチの下にササグモがいました。ササグモは後ろ向きで襲う気配がありません。

このハチの体長は約15mm、腹部後ろ半分の鮮やかなオレンジ色が目立ちます。ササグモのメスの体長は約10mm、頭胸部が腹部より大きいです。徘徊性で時に跳躍して獲物を捕らえます。


アズチグモ ハチを捕らえる-1   2014.8.29

アズチグモが小型のハチをしっかりとつかんでいました。クモのアゴから体が麻痺する毒を注入され動けないのか、ハチはビクともしません。

アズチグモ ハチを捕らえる-2    2011.8.8 

自分の体よりやや大きいハチ(ハキリバチの仲間?)を捕らえています。クモはハチに抵抗する間も与えずにしとめます。


アズチグモ ハエを捕らえる     2016.8.31 

 捕まったハエは、体形や複眼の縞模様などからツマグロキンバエと思われます。キンバエと聞くと敬遠したくなりますが、このハエは花にやってきます。体長は約8ミリです。複眼の縞模様がおもしろい。

アズチグモ ガを捕らえる     2015.8.23

 アズチグモが自分の体の3倍以上ありそうなガ(名は不明)を捕らえていました。黄色いオミナエシの花に潜むアズチグモの体色は、ほとんどが保護色の黄色です。


カマキリ ハチ(アブ?)を捕らえる                            2012.7.24

 虫が集まるオミナエシの花はカマキリにとっても絶好の狩場です。カマキリはまだ翅が生えていないオオカマキリまたはチョウセンカマキリの幼虫です。