道路脇ではヒルガオ、ドクダミ、ハハコグサ、マツヨイグサなどが咲いています。オオイヌノフグリやヒメオドリコソウ、ショカツサイ、ナガミヒナゲシは随分と減りました。セイヨウタンポポ、ノゲシはまだまだ見られそうです。
玉川上水の柵の中では、ニリンソウの花が終わりを迎え、ホウチャクソウ、フタリシズカ、ジシバリ、ナワシロイチゴが咲いています。場所によってはホタルブクロ、レンリソウの花も見られます。ヨウシュヤマゴボウやツユクサも咲き始めました。カンゾウやツリガネニンジン、オカトラノオ、ワレモコウは、背高く伸びてツボミをつける時を待っています。
樹木の花ではスイカズラ、マユミ、ミズキ、マルバウツギ、ノイバラ、ヤマブキが咲く時期です。クルミの実は徐々に大きくなり、クワの実が色づき始めています。伐採地区では樹木はかなり減りましたが、わずかに残ったものが花を咲かせたり実を付けたりしている様子が見られます。
まだ梅雨に入る前ですが、夏に花を咲かす植物たちがすでに準備をはじめています。春と夏の間のひととき、涼やかな空気の中で観察することができました。
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それぞれの花について
ジシバリ
山野の日当たりのよい場所を好みます。伐採区域で見られます。
ナワシロイチゴ
茎や枝にはトゲがたくさんありまずが、5月にピンク色の紙風船のような花を付け、6月ごろには鮮やかなルビーのような実をつけます。やや酸っぱいですが、つい手を伸ばしてしまいます。雑木林でも伐採地域でも見られます。
ヒルガオ
日当たりのよい野原や道端に生えます。玉川上水ではヒルガオとともにコヒルガオも見られます。柵の内側でも見られますが、柵の外の日当たりのよい場所でよく見られます。
フタリシズカ
山野の林内に生える植物です。花弁を持たず華やかさはありませんが、大きな葉に包まれて白い花穂をつける姿は優美です。伐採地域でも見られますが、雑木林の方が多いように感じます。
ホウチャクソウ
丘陵の林内を好む植物です。薄い緑色の花なのであまり目立ちませんが、玉川上水では涼しげな雑木林の下で清楚に咲いています。伐採地域でも見られますが、雑木林の方がよく見られます。
ホタルブクロ
玉川上水ではホタルブクロとヤマホタルブクロの両方が見られます。どちらも山野や丘陵を好む植物です。白や薄い紫色の花を咲かせます。花が開く前のぷっくりとした蕾が何とも可愛らしいです。伐採地域では、よく日の当たる沿道に群落が良く見られます。ヤマホタルブクロはホタルブクロより高地を好むようですが、玉川上水ではどちらも同じ場所で見られます。
レンリソウ
川岸などの湿った草地に生える植物です。細く小さな対生の葉から男女の契りを表す連理を連想させることから、その名がついたそうです。雑木林の開けた場所で濃い藍色の花を咲かせていました。
エゴノキ
木本です。下向きに咲く白い花を枝いっぱいにつけます。木の下に入って見上げると、花が降ってくるような感覚を覚えます。伐採地域では今年は確認できませんでした。
スイカズラ
つる性の木本です。白く香りの強い花を咲かせます。伐採地域でも何とか生き残り、今年も花を咲かせました。
ノイバラ
低木です。3㎝程度の白い花をつけます。秋には野鳥が好む真っ赤な実がなります。伐採地域では今年は確認できませんでした。
マルバウツギ
低木です。2㎝程度の可憐な小さな白い花をこぼれるようにたくさん咲かせます。伐採地域でも水際に残されています。流れにかかるように咲く姿は爽やかで優美です。
マユミ
低木です。花は小さく黄緑色で目立ちませんが、秋に可愛らしいピンク色の実を付けます。その実が割れると、よく目立つ真っ赤な種が顔を出します。その種を目当てにたくさんの野鳥が訪れます。伐採地域でも何本かは伐採を免れ、今年も花を観察することができました。
ミズキ
木本です。白いふわふわとした小さな花をテーブル状に咲かせます。秋には濃い藍色の実をたくさんつけ、野鳥を呼びます。花は一度に咲くのにも関わらず、実によって完熟する時期に差があるのが不思議。伐採地域では見られなくなりました。
<参考>
レッドデータブック東京 https://tokyo-rdb.metro.tokyo.lg.jp/
山渓ハンディ図鑑1「野に咲く花」増補改訂新版 山と渓谷社 2013年
山渓ハンディ図鑑2「山に咲く花」増補改訂新版 山と渓谷社 2013年
玉川上水花マップ春号 玉川上水花マップネットワーク 2019年
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